ありがとう 愛してる[障害者目線・健常者目線


  • 2017年4月6日
  • Leonine
口唇口蓋裂の疾患者ご本人でメイクセラピストの佐藤奈都子さんによる、メイクのことや日常生活での気付きのコラム。
本記事では、奈都子さんが思う、「障害持ってるってこんな感じ」についてご紹介します。
人や自分に対して先入観を持たず、自分の本質には常に「愛すべき存在の」という言葉を置きたいです。

私の思う「障害持ってるってこんな感じ」

このコラムを読まれている方は、どんな方が多いのでしょうか。

口唇口蓋裂の当事者の方、

お子さんが口唇口蓋裂の方、

ご家族・ご親戚に口唇口蓋裂の方がいる方。

それか、お友達に口唇口蓋裂の方がいる方?

 

偶然、このサイトを見つけてご覧になられている方は少ないのじゃないかな?と思います。

 

ちなみに、私のパソコン、「こう」と打つと

予測変換で「口唇口蓋裂」と出してくれるようになりました(笑)

 

「あんた、次はこの字を打ちたいんやろ?」と

ドヤ顔のパソコンを思い浮かべて、

なんだか親近感が湧いている今日この頃です(笑)

 

さて、話を元に戻しますが、

先日、人前で話す機会があり、

「障害持ってるってこんな感じ」と、

話したところ、好評だったので、こちらでも書かせていただきます。

 

ただ、先に申し上げると、これは障害者代表として、

障害者がみんなこう思ってるよ!という訳ではなく、

こう思っている人もいるよ、ぐらいに捉えていただければ嬉しいかな、と思います。

 

健常者の方々との架け橋になれたら、と

通訳するような気持ちで書かせていただきますので

あくまで参考程度で、かる~く読んでください。

 

障害持ってるってこんなイメージ

あなたは日本人として生まれました。

ただ、生まれた場所が日本ではない国でした。

その国では、あなたの髪の色、肌の色、顔の形がとても珍しいようです。

通行人の人が顔を覗き込んできたりします。

 

その国の人は、日本人が好きではない人もいるようで

ただ普通にしているだけで笑われたり汚いもののように見られたりします。

 

でも、あなたは生まれたままの形で生きているだけです。

 

それなのに、他の人は行かなくていい病院に行き、

手術を受けたり、研究と称して学生さんに囲まれてジロジロ見られたりします。

 

きちんと話しているつもりでも、聞き返されて悔しい思いをして、

面白いこと思いついた!と思って話しても聞き取りづらいせいで

笑ってもらえなくて残念な気持ちになったり。

 

逆に、ただ普通の人と同じことをしただけでも感動されたり、

身の丈以上に評価をされたりもします。

 

もちろん、努力もしています。

その国の人たちに分かりやすいような話し方をしたり

同じような顔カタチになるように、化粧やファッションも人以上に

工夫をして頑張っています。

 

こんなイメージです。

伝わりますでしょうか。

 

別に、悲劇的な何かを背負って生まれてきた訳じゃないんです。

ただ生まれてきたままの形で生きているだけなんです。

 

普通の一人の人間です。

 

人に対して、自分に対して、先入観を持っていませんか?

 

「五体不満足」の著者、乙武洋匡さん、最近さまざまな問題でバッシングをされましたが

あれは、乙武さんが障害者じゃなかったら、あれほど取り沙汰されてますか?

東洋経済ON LINEに載っていたインタビュー記事、拝見して共感するところがありました。

 

『乙武洋匡「自分をようやく理解してもらえた」』

http://toyokeizai.net/articles/-/159335

(長いですが、ぜひ最後まで読んでみてください)

 

「障害者だから」清廉潔白なイメージを、勝手に世間は抱いていないでしょうか。

その奥底に「かわいそう」という気持ちがない、と言えますか?

 

ベストセラー作家で政界進出して結婚しているのに不倫までして、「障害者なのに」。

 

「障害者だから」仕事を選べない、結婚できない、等々、無意識に思っていないでしょうか。

それを当事者の方なら自分に向けて、身近な人に口唇口蓋裂の人がいる方なら、

その人に勝手な先入観を思い描いてしまっていないでしょうか。

 

その人の本質として、真ん中にあるものは。

口唇口蓋裂の○○。

(当事者の方なら自分の名前を、身近な人に口唇口蓋裂の方がいる方なら、

その口唇口蓋裂の人の名前を入れて見てください。)

 

口唇口蓋裂の○○は、口唇口蓋裂ありきの人間ではなくて、

○○は日本人で、口唇口蓋裂で、◇歳で…という、色々な個性・特徴を持っている一人の人間なので、

口唇口蓋裂が○○の代名詞なわけではないです。

その特徴のひとつによって、人生が決まるわけではないんです。

 

「口唇口蓋裂」という言葉の重みに、自ら負けてしまわないよう、

○○さんの、本質のど真ん中には、ぜひ「口唇口蓋裂」ではなく

「愛すべき存在の」という言葉を、日々置いてあげてください。

(しっくりくる言葉は人それぞれだと思います)

 

◆ ◆ ◆

このコラムでは、テーマを募集しています。

こんな内容で書いて欲しい、など、質問疑問をお待ちしています。

コラムページ右のメニューバー下に

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そちらに記入いただくか、私のブログへ直接書き込んでいただいていただいても大丈夫です。

 

次回は、メイク・そして顔のことに触れたいと思います。

それでは、また。

 

佐藤 奈都子

Natsuko SATO

〝口唇口蓋裂のメイクセラピスト″

1978年生まれ、秋田出身。

顔に生まれつきの障がいを持って生まれる。

リハビリメイク提唱者のかづきれいこ氏に師事、顔にコンプレックスがある方へのメイクを学ぶ。

その後、「らしさが美しい、を文化に」美塾・内田裕士氏に師事。

ありのままの自分の顔を愛し、良さを引き出すメイクを身につけ、

その人の心に光をあてるきっかけとしてのメイクを教え、伝えている。

2013年にはドキュメンタリー映画「うまれる」自主上映会を故郷の秋田で開き、盛況となっている。

自分の顔を好きになる人を増やしたい。 その輝きを応援したい。

最近ハマっているものは変顔で、美味しいものを食べている時が一番幸せ。

 

ブログもやっています。

http://ameblo.jp/lifeisprism39/

 

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