「素直なキモチを風に乗せて」Vo5. 自分と同じツラい思いをさせたくない(完結編)
- 2018年1月31日
- Leonine
口唇口蓋裂とダウン症のお子様を持つ障がい児のパパママカウンセラーであり、積極的なパパの育児参加を推奨するファザーリングジャパンの会員でもある山本さんより、仕事、子育て、家事、夫婦関係、地域活動、趣味、全部欲張りに楽しむ秘訣を教わります!Vol.5は完結編。奥様の妊娠で判明した事実、そしてこの疾患についてまわりの人の理解が深まるようにしようと決めたきっかけとは。
(前回の記事→Vo4.「本当のことが知りたい」)
結婚して4年、妻が妊娠しました。
妻は、自然な分娩を望み、助産師のサポートによる自宅出産を希望しました。
とはいえ、不測の事態に備えるために、助産師さんの提携する産婦人科で妊婦検診を受けていました。
妊娠33週目の検診で驚くべき事実が判明したのです。
先生「誠に申し上げにくいのですが、生まれてくるお子さんは、
お母さまと一緒の状態のようです・・・」
「つまり、口が裂けているようです」
と言いながら、エコーで見せていただきました。
妻は、確率が高くなるとはいえ、まさか500人の割合が仮に倍の確率であったとしても、
我が子がそうなるとはありえない、と思っていたのです。
助産師さんが、悲しみショックを受けている妻を気づかって、
産婦人科の空いている部屋を借りてくださいました。
そして、妻の話を聴き、寄り添い、共感し、励ましながら、
生まれてくる命の尊さについてお話してくださいました。
それで、一番の妻の思いは
「自分と同じツラい思いをさせたくない」だったのです。
幼少のころから成人になるまで、ハンカチが離せず、人に口元を隠していたという妻
口が「ふつう」でないから、と言う理由で、いじめにあったり、
人間関係を築きにくかったようです。
自分のせいで、長男も・・・と
想像してしまったようです。
妻は、自分が経験したことをふりかえると、
口唇口蓋裂の治療であったことに合点がいきますが、
「けが」ということになっており、疾患の説明を受けているわけではないので、
もんもんとしたキモチを引きずっていました。
「口唇口蓋裂」という疾患も俗語の「三つ口」も最近知ったばかりで、
同じような口をしている人はいるけど、その人も「けが」をしてそうなったと信じていたのです。
同じ立場の親として我が子に寄り添い、ともに苦しみや悩みを乗り越えようとする妻
だから、ボクも覚悟を決めました。
・この事実を揺らぎなく受け止めるのだ
・どんな病状であっても、本当に望んでボクたちのもとに来てくれる子どもなのだ
と。
まずは、ボク達が目をそらさずに口の状態を直視し、
疾患について子どもとともに考えられるようにしよう。
まわりの人にも知ってもらい、理解が深まるようにしよう。
そう思うようになったのは、妻の「本当のことが知りたい」
「(我が子に)自分と同じツラい思いをさせたくない」というキモチがあったからなのかもしれません。
そして、その後、疾患についてオープンに知らせていくきっかけとなったのです。
山本峰司
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