ありがとう 愛してる「メイクの力 〜どれぐらいカバーできるか〜」


  • 2017年8月4日
  • Leonine
口唇口蓋裂のメイクセラピスト佐藤奈都子さんによる、メイクや日常生活での気付きのコラム「ありがとう 愛してる」
Vol3は、女性にとってとても関心の高い「メイクの力」。実際どれほどカバーできるの?
メイクで目指すゴールなど、口唇口蓋裂のメイクセラピスト佐藤さんならではのコラムです。

メイクの力 〜どれぐらいカバーできるか〜

こんにちは。佐藤奈都子です。

異常気象が続きますね。

私の故郷でも豪雨の被害があり、親族や友人と連絡を取り合いました。

いざ、と言う時に助け合える人たちがいる、と言うのは嬉しいことですね^^

 

口唇口蓋裂のケアに関しても、望めば医療の面ではかなりフォローしていただける環境づくりが進んでいるのでは、と感じます。

もちろん、地域差はあるかとは思います。

 

医師の方が仰っていた言葉で、すごく印象に残っている言葉があります。

中学生の頃、手術のため入院していた時に同室の小学生の女の子がいました。

担当の医師の方がいらしてお母さまへ色々、お話しされていました。

具体的な内容は覚えていません。

間もなく退院するに当たって、見送りに来たような、そんなぼんやりとした記憶があります。

何かの折に、ふと医師の方が仰った言葉。

「○○ちゃんは、僕たちが必ず美人にしますよ。」

断言、でした。

 

私はそれを聞いて、ガツン!と衝撃を受けたのですね^^

その頃の私の心理状態を分析しますと、「口唇口蓋裂でも、美人になっていいんだ!」と驚いていました^^

今となっては、当たり前だよ!いいに決まってるじゃない!

と背中を叩いてあげたい気持ちになりますが、当時は本当にそう思っていました。

外科的アプローチから顔かたちを整えて、美人にする。

 

それって、すごい後押しだと思いませんか?

日本の医療のすごさを感じますし、また、そんな考えを持った方が医師として関わってくれることに、心強さを感じます。

 

では、顔かたちが、医師の方も太鼓判を押す美人に整えて退院をしたとして、

その子が思春期を迎えた時、(ちょっと縫い目が気になる…)(唇の形が気になる)

などと思った時に、顔にメスを入れるのでなくメイクでササっとカバーできるテクニックを本人、

もしくはお母さま、または近所にいるお姉さんが持っていたら、

その子の悩みの度合いはぐーーーーんと軽くなるのではないかな?

と思い、私はメイクを習い始めました。

 

顔の悩みって、誰でも持ちます。

思春期ならなおさら。

治療の面ではチームを組んでフォローに当たってもらえますが、

本人が外観を意識し始めるのは思春期ぐらいから。

 

そんな時に気軽に相談できる環境づくり、していきたいですよね^^

実際のところ、どれぐらいカバーできるの?

では、メイクでどれぐらい口元をカバーできるのでしょうか。

結論から申しますと、色みに関するカバーはほぼ出来ます。

手術後すぐは、赤みがあったりしますが、しばらくすると落ち着きますし。

そのため色みに関するカバ-

は気になさらなくてもいいかな、と思います。

ただ、ファンデーションは凹凸に弱いです。

 

縫い目は凹凸とテカリがあり、テカリに関してはファンデーションを乗せることである程度抑えられますが、

縫い目の凹凸をカバーしたいのであれば、シート状のファンデーションテープ等も販売されています。

 

ここで注意したいのは、口元は皮膚が薄くてよく動きますし、

食事やティッシュで鼻をかむ等の動作で物理的刺激を受けやすい位置だと言うことです。

テープで覆った場合、覆っているところと覆われていないところの段差をうまくカバーしないと、逆にテープ自体が目立ち、目線が気になってしまいます。

そのため、「本人が」どれぐらいカバーしたいのか、を重視してカバーすることが大事だと思います。

瞬間的にカバーできれば良いのではなく、一日その顔で生きていけるような顔を作れれば、まずはクリアですね^^

術後は日焼けをあまりしないように、私は言われた記憶がありますが、

そういった意味でも日焼け止め兼ファンデーションをつけてみてもいいかもしれません。

お母さまのお手持ちのもので十分です^^

 

メイクの力

ここでゴールとして目指したいのは、「いざという時に簡単にカバーできる!」と思えることです。

「私の顔は、大きな病院などでお医者さんたちが大勢でやらないとダメな顔」ではなく、

「私の顔はこれぐらいの手間をかければまぁまぁ大丈夫になるんだな」と思えることです。

カバーが大事なのではなく、自分の顔は大丈夫!と思えることで、第一歩を、踏み出すことになります。

人類で初めて月面を歩いたアームストロング船長が言った「人類にとっては大きな一歩だ」レベルの、大きな一歩です!

 

もちろん、メイクだけではなく、「私は大丈夫」と思うためのアプローチは様々あるかと思います。

宝探しの気持ちで、探してみてください^^

 

◇ ◇ ◇

Leonineのコラムと連動して、自身のブログでもどれぐらいカバーできるかの検証を行ってみました。

手術痕や凹凸のカバーについて、写真を載せています。

ぜひご覧になってください!

◆Blog: メイクでどの程カバーできるか検証してみた

 

佐藤 奈都子

Natsuko SATO

〝口唇口蓋裂のメイクセラピスト″

1978年生まれ、秋田出身。

顔に生まれつきの障がいを持って生まれる。

リハビリメイク提唱者のかづきれいこ氏に師事、顔にコンプレックスがある方へのメイクを学ぶ。

その後、「らしさが美しい、を文化に」美塾・内田裕士氏に師事。

ありのままの自分の顔を愛し、良さを引き出すメイクを身につけ、

その人の心に光をあてるきっかけとしてのメイクを教え、伝えている。

2013年にはドキュメンタリー映画「うまれる」自主上映会を故郷の秋田で開き、盛況となっている。

自分の顔を好きになる人を増やしたい。 その輝きを応援したい。

最近ハマっているものは変顔で、美味しいものを食べている時が一番幸せ。

ブログもやっています。

http://ameblo.jp/lifeisprism39/

“ありがとう 愛してる「メイクの力 〜どれぐらいカバーできるか〜」” への2件のコメント

  1. 18歳、口唇裂の女子高生です。
    普段は気にせず明るく過ごしているのですが、年に数回自分の唇や鼻の歪さにふと気付いてしまい、どうしようもなく悲しくなり再手術をしようか..なんて事が頭をよぎってしまいます。
    そんな中佐藤さんのブログを拝見し、少し前向きになる為の元気が貰えました。
    ありがとうございました。

    • 川村紀香さま
      せっかくコメントいただいていたのに、超絶ゆっくりな返信となってしまい、申し訳ありません。
      紀香さんが少し前向きに、元気になれたと伺ってとても嬉しく思いました。

      年に数回、どうしようもなく悲しくなってしまうとの事
      そんな気持ちの時に、寄り添えたら良いのになぁ…と思います。
      今回のコメントも、勇気を出して書いてくれたのではないでしょうか。
      声を出してくれてありがとうございます^^

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