男性の術痕対策「ヒゲの自毛植毛」施術インタビュー


  • 2021年10月2日
  • LeonineAdmin
Leonine座談室に遊びにきてくだった両側口唇口蓋裂の男性、Chocoさん。
Video越しに見たヒゲがとても素敵で、「そういえば術痕にヒゲは生えてくるの?」という会話から「自毛植毛」という施術があることを知りました。施術についてChocoさんに詳しく教えていただいたので、男性でも出来る『術痕を目立たなくする方法』として是非ご一読ください。

ーー本日は両側口唇口蓋裂の当事者の男性、Chocoさんに「ヒゲの自毛植毛」についてお伺いさせていただきます。よろしくお願いします。

 

Chocoさん:よろしくお願いします。

 

ーーChocoさんは顔の術痕がほとんど目立ちませんが、まず始めに疾患の種類とこれまでの治療歴を教えてください。

 

Chocoさん:疾患種類は、両側唇顎口蓋裂です。

治療歴は、生後3か月で口唇裂、1歳3か月で口蓋裂、5歳で鼻と口唇の修正(口唇裂の手術時に片方に寄せて縫った鼻下を、両方にして人中を作る手術)、小学4年生で鼻の修正手術(小鼻の縮小と鼻を高くする手術)、高校1年生で鼻の修正手術(小鼻の縮小)、最後に19歳で人中の修正手術(人中のラインの修正)を自分の希望で行いました。
最後の修正で、自分が期待していた結果とは異なり、ここで終わりか・・・という絶望感がありました。
また顎裂への骨移植手術は行っていない為、裂部分に歯茎はなく、ブリッジをいれています。

 

――顎裂の骨移植をやらないケースもあるのですね。こちらも是非今度聞かせてください。それでは早速ですが、「ヒゲ」についてお伺いさせてください。
Chocoさんのヒゲは、自然でとても素敵ですよね。自毛植毛と伺いましたが、もともとは手術痕にヒゲは生えていなかったのでしょうか?
またこれまで手術痕が気になったことはありますか?

 

Chocoさん:はい。もともと手術痕には生えていませんでした。
手術痕は、周りからは気にならないと言われましたが、自分としては気になっていましたね。
高校生ぐらいまでは、修正で痕が消えると思っていましたが、修正手術をしても結局消えなくて当時は絶望もしました。でも社会人になってからは気にしている暇もなくなり、最終的に気にならなくなっていました。
ヒゲはずっと剃っていましたし、伸ばそうという発想も、当時は特になかったですね。

 

――そうなのですね。ヒゲを伸ばそうとは思っていなかった中で、植毛しようと思った理由や、実際に行動を起こしたきっかけは何だったのでしょうか?

 

Chocoさん:2年程前(当時36歳)、職場で役職が付いたり、マイホームを建てたり2人目が生まれたり、人生における変化点が多く、変に人目が気になるようになったんです。
鼻下の傷痕についても、期待していたようにはきれいにならずに一度はへこんだものの、その後あまり気にしていなかったのが、急に気になるようになって。気持ちと見た目どちらにおいても、理想の自分と現実とのギャップを感じていました。少しメンタルも病みかけていたように思います。
そんな時、イギリスの口唇口蓋裂の俳優、トム・バーグさんの写真を目にしました。
ヒゲがないと傷痕がはっきり分かるのに、ヒゲが生えていると痕がほとんど分からない、ということに驚きました。そこからヒゲを植毛することに興味を持ち、病院を調べ始めました。

 

――自分で病院を調べて予約をした、とのことですが、どのように病院を選んだのでしょうか?

 

Chocoさん:病院はネットで調べました。なるべく安いほうが良いという思いがあったので、値段と雰囲気で横浜にある「ヨコ美クリニック」に決めました。探し始めてから2週間くらいで実際にカウンセリング予約をしました。
植毛することは決めていたので、カウンセリング後にすぐ施術予約をしましたが、予約がいっぱいで3か月待ちでした。

 

<実際のBefore-Afterの写真>
施術前

施術後

 

――自毛植毛は、実際にどのような施術だったのでしょうか?

Chocoさん:あごの下のヒゲを毛根から1本1本、合計150本取り、鼻の下に小さくメスを入れ植えていく施術(FUE)です。
全身麻酔なので、眠った状態で1時間半~2時間ほどで終了です。
費用は、毛の本数によって変わるようですが、麻酔など初期費全て含め16万円でした。計算すると1本約1000円程ですね。

 

――植毛する量によって金額が変わるのですね。また部分麻酔ではなく全身麻酔ということで、毛根からしっかり移植しているという感じがしますね。
施術後の経過はどのような感じだったのでしょうか?植えた部分もそうですが、抜いた部分がどうなるのかも気になります。

 

Chocoさん:施術後、毛の周期があり一度抜けますが、周期もバラバラなので全て抜けることはなかったです。その後は半永久なので、剃っても大丈夫です。
またヒゲを持ってきたあごの部分は、元々毛量があるので減っても分からない程度です。
施術をした後から、毛が生え変っているときも含め、現代の医療に感動しましたね。

 

――半永久!すごいですね。ちなみに施術後のダウンタイムはどれくらいでしたか?

 

Chocoさん:ダウンタイムは2週間ほどでした。その間、患部が腫れて、笑えない、食べられない(噛みにくい)、洗えない、など不便ではありましたが、1週間後からベビーシャンプーで洗えるようになります。

 

――なるほど。浅くともメスを入れているのでダウンタイムはそれなりにあるのですね。施術についてのイメージができました!
ところで、実際に施術を行ってみて、自分の変化や周りの反応はどうでしたか?

 

Chocoさん:自分の変化としては、ヒゲを剃ったり生やしたり、選択肢が広がったことです。
植毛する前はないものねだりでしたが、心に余裕が出来ました。
当時、少しメンタルも弱っていたこともあり、施術後いきなりヒゲを伸ばすのはまわりの目も気になったので、最初は薄めに生やしたりしていましたが、最近はこの疾患と向き合うことも増えて、今では気にならなくなりました。
同様に、気持ちも徐々に変化していきました。これは奥さんや子供に助けられた部分でもあります。

 

周りからの反応は、残念ながら子供からは嫌がられました。笑
当時小学1年生の娘に、「パパ、ひげいやー!」と言われて少し悲しかったですが、奥さんは「自分が自信を持てたらいいんじゃない?」と背中を押してくれる感じで有難かったです。

 

――奥様の理解や、なによりご自身の心に良い変化があり、とても良かったですね。最後に、同じように傷痕に悩んでいる当事者の方へメッセージがありましたらお願いします!

 

Chocoさん:周囲で植毛をやっている口唇口蓋裂の当事者はいませんでしたが、病院のモニター写真では唇裂の方の写真もあり、こういったクリニックではよくある症例なのかなと感じました。
傷痕が気になっているようであれば、植毛はカムフラージュとして効果的です。
金額がかかることもありますが、悩んでいる時間を考えると元は取れますし、やってみる価値はあると思います。
自分は気になっていたこともあるので、やってよかったと思っています。

 

――お話を聞かせてくださり、ありがとうございました!「術痕にヒゲは生えるのかな?」という疑問が解消できただけではなくて「植毛」という方法があるのだと、とても勉強になりました。選択肢が広がるのは、口唇口蓋裂の子供を持つ親としても、とても嬉しいです。現代の医療は本当にすごいですね!

 

<ご参考>
FUEとは?
https://www.yokobikai.or.jp/column/column_05.html
施術時間:約2時間
ダウンタイム:約2週間
かかった費用:税抜16万円

 

お話をしてくださった方:Chocoさん

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