しごと選び Vol.3 メイクセラピスト


  • 2017年3月13日
  • Leonine
社会で活躍する口唇口蓋裂疾患者ご本人による、キャリア選択ストーリー。
悩みを克服して今がある。その経験はこれから将来を考える子供たちの「夢」と「希望」になる。Vol.3はメイクセラピスト紹介。
涙が溢れるほど心が動いた理由を探求した結果、今の仕事に。「やりたいことを口に出す」ことで世界が変わるかもしれません。

自己紹介:メイクセラピスト

佐藤奈都子

口唇口蓋裂のメイクセラピスト

関東と故郷秋田で活動中

 

◆メイクセラピストって??

口唇口蓋裂の方向けではなく、すべての人が「自分の顔を好きになるメイク」をテーマに、

・自分で出来る

・自分の手持ちの道具で出来る

・自分らしさを認める

そんなメイクを教えています。

 

自分の顔と向き合い、自分を素敵と思えるようになるお手伝い

最初は「自分の顔なんて…」と仰っていた方が、レッスンが進むにつれ真剣に自分と向き合って、

徐々に表情がキラキラし出すところを見ると、胸が熱くなります。

そして、最後に鏡を見た時の「うわぁ!」という表情。

全身からキラキラとしたオーラが立ち上るようです。

 

「ありがとうございます!」と言われると、こちらこそありがとうございます!と言いたくなります。

生徒様が自分の顔と向き合い、自分自身を素敵だな、と思える箇所と出会った瞬間に立ち会える事が

この仕事をしていて、最高の喜びとなっています。

 

◆苦労したこと、大変だったことは?

苦労という苦労はないです。

一個人として障害と向き合い、受け入れるまでは色々ありましたが

職業人として、「口唇口蓋裂」という点で、苦労したと思ったことはないですね。

レッスンの時に噛み倒して、素知らぬ顔で言い直すことは多々ありますが(笑)

 

コンプレックスを隠さない。唇が気になるならいつでも笑っていればいい。

一重瞼が嫌だ、ほうれい線が深くなってきた、など人の悩みは様々です。

けれど、一重の瞼だって美しい。

メイクする側として、その方のお悩みをなくして差し上げたいと思うと、

ぱっちりのアイメイクにした方が、瞬間的な喜びは差し上げられますが、

メイクを落として、隠していた自分の素顔と向き合う時、どんな気持ちになるでしょうか。

コンプレックスを隠すメイクでは、本質的な喜びまでには至りません。

 

一重瞼だっていいじゃないですか。

アンニュイで奥ゆかしい、日本人の美しさを体現している瞼だと思います。

 

口唇口蓋裂もそれと同じです。

「障害」という免罪符をもらってしまっているので、大手を振って悩んでもいいように思えますが、

唇の形が気になるなら、いつも笑っていれば良い。

笑顔を醜いと思う人はいません。

 

口唇口蓋裂で苦労したと思うならば、

一重瞼でだって苦労したと思ってしまうのではないでしょうか。

 

背が低い(背が高い)

太っている(痩せている)

肌が黒い(肌が白い)

などなど…

全部、コンプレックスの元になります。でもそれは、ただの、あなたの特徴です。

裏返せばあなたの個性です。

 

私は口唇口蓋裂の自分の唇を、美しいと思っています。

 

自分らしさの中に美しさを見つけた時、人は輝き、瞳に強さが宿る

メイクセラピストは、これを仕事にしたい!

と、思って始めたことではありませんでした。

元々は違うことをしたくて勉強していましたが、あるきっかけで、メイクをしてもらう機会を得ました。

涙が溢れました。

生まれて初めて、傷跡のない自分の顔を見ました。

 

それからは、なぜメイクであんなに心が動いたのか、

たかがメイクと言われるけれど、なぜメイクには、こんな力があるのか、

不思議に思い、探究心が強かったので、故郷秋田から東京まで二年間スクーリングに通ってメイクを習いました。

 

習えば習うほど、メイク、そして人の顔や心理は面白く、

どんどん学んでいくうちに、今ここにいる、といった感じです。

自分の顔と向き合って、自分らしさの中に美しさのかけらを見つけた時、

人は輝き、瞳に強さが宿ります。

その輝きは本当に綺麗で、そんな人をたくさん見たい、

と思ったのが、きっかけでありやり続けている理由かもしれません。

自分と向き合うまでは苦労もあったし口元を隠す癖もあった

25歳の時にメイクに出会い、自分と向き合うきっかけをもらうまでは、

自分の顔は人間の顔じゃない、と、もんもんとしていました。

いじめもありましたし、偏見もありました。

(主に男の子からのいじめだったので、男性不信になりました)

人前で話すのが嫌で、笑う時には口元を手で隠す癖がありました。

男性から告白された事もありましたが、

「こんな私を好きになるなんて、見る目のない人だな」と、

今思えば言いがかりのような理由をつけて断っていました。

 

滑舌が悪い事で、電話で聞き直される事も多かったですし、

通りすがりの小さな子が、私の顔を覗き込んでくるのがたまらなく嫌でした。

と、色々ありましたが、いじめられていた時は、

運が良かったことに学校の成績が良かったので、成績で見返してました。

先生がクラスで一番成績が良かった生徒の名前を言ってくれるので、

いじめてくる人たちに、内心、「バーカ!」と大声で思っていたり(笑)

苦労した、と思っていた事は色々ありましたが、今思い返すと、私も色々やり返してますね(笑)

 

なかなか面白いエピソード多いので、コラムでもご紹介していきますね。

 

「見える世界」は変えられる。やりたいことを声に出してみる。

◆これから将来を考える子供たちへのメッセージ

興味がある事もない事も、たくさんの世界を見ておくと良いと思います。

いま自分が置かれている世界がすべて、と思ってしまうと苦しくなります。

例えば学校にあまりなじめないと感じていても、他でなじめる場所があれば負担は軽くなります。

 

○○中学の生徒である自分、

○○家の一員である自分、

口唇口蓋裂である自分、など、

みんな無意識に自分で自分のキャラクターを決めています。

 

知っていましたか?

眉毛が濃くて繋がっている人、というと、日本では野暮ったい印象に思いがちですが、

タジキスタンでは美人の条件は、眉毛が濃くて繋がっている事だそうです。

イタリアでは低い鼻が美しいと言われているし、美の基準は、世界では違うのです。

私は福耳で、耳が立っているような形をしているので稀に褒められますが、

ヨーロッパやアメリカでは、あまり好まれない形だそうです。

 

面白いでしょう?

世界は広いんです。

 

私の祖父は、60才を越えてから海外旅行に目覚め、あちこちに行っていました。

何かを始めるのに、遅いなんてことはありません。

成績が悪い、才能がない、○○ない、と言い始めればきりがありません。

 

まずは、「私は○○したいと思ってるんだ」と、

周囲の人に言うだけでも、世界は変わって来ます。

 

最初の1回目だけは、ドキドキして、こんなこと言ったら何て思われるだろう、と思うかもしれません。

でも一度、口から出てしまうと、楽になりますよ。

自分のタイミングで初めてみてください。

 

 

佐藤奈都子

東京と、故郷秋田でセミナーやマンツーマンレッスンを行なっています。

気軽に足を運べるお茶会も、不定期ですが行なっていますので

詳細はHPまたはブログからご確認ください。

http://ameblo.jp/lifeisprism39/

 

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