しごと選び Vol.1 ギタリスト


  • 2017年2月8日
  • Leonine
社会で活躍する口唇口蓋裂疾患者ご本人による、キャリア選択ストーリー。
悩みを克服して今がある。その経験はこれから将来を考える子供たちの「夢」と「希望」になる。
育った家庭や環境の影響も大きく、パパママにも読んでほしいコラムです。

自己紹介

Rock Band おかん ギタリスト YOU

1982年生まれ。
先天性異常の1つ【口唇口蓋裂】という障害と【在日コリアン】という血を持って生まれる。

生まれ持った【障害】と【血】。

普通ではない2つのことを抱えた体。

その体で感じてきた人生を断片的に切り取り音楽として奏でることで

多くの人へのメッセージを届けている。

また【同じ障害を持つ子供たちの力になれるように】と顔には口唇口蓋裂の傷跡をそのまま残している。

ありのままの姿でステージで輝きを放つことで、

その姿を通して多くの人のコンプレックスやハンディに対するネガティブな想いを

和らげることができるようにと願いを込めてステージに立ち続ける。

 

音楽を前に人種も国も関係ない

やりがいは音楽を通して多くの人々と繋がれること。

特に海外に行くと言葉は通じないけど、一度音楽が鳴り始めればそこには人種も

国も何も関係なくみんな友達になれてしまう。

魔法のようなお仕事です(笑)

もちろん音楽で生きていくのは簡単なことではなく苦労することも沢山あるけれど

苦労の数だけ喜びを感じる瞬間がたくさんあります。

 

この傷が人の力に。自分の中の世界が変わった。

中学生の頃に容姿や話し方をからかわれたことから

ずっとずっと自分の口唇口蓋裂という生まれが憎くて仕方なくて・・・

「なぜ自分はこんな顔で生まれたんだろう ?」

鏡を見る度にそんな言葉が浮かんでくる思春期でした。

 

そんな中、ギターと出会いバンドを組んでLIVEをするようになったある日。

ステージを降りると1人の女性がこんな言葉をくれたんです。

「今日あなたがステージで楽しそうにギターを弾いている姿を見て本当に勇気がでたわ。ありがとう」

お話を聞くとその方も口唇口蓋裂で生まれたそうで、

同じ傷を抱える僕の幸せそうな笑顔を見て希望を抱いてくださったそうです。

 

「私も同じ障害で生まれて・・・思い返せば今までずっとこの傷を引きずって生きてきたわ。

でも、あなたの笑顔見てたら。自分もこうやって笑って生きていきたいって思えたの。」

 

その瞬間に僕の中で世界が変わった気がしました 。

あんなに憎くて嫌いで仕方なかった障害の傷が、人の力になれる。

自分の生きていく意味のようなものを強く感じました。

 

子供たちの希望に。自分が日本の芸能界で活躍する存在になる

その日から、今まで避けてきた口唇口蓋裂の事を自分で調べるようになりました。

ネットを開くと、自分自身が悩んだ思春期の子供達の声がたくさん出てきて・・・

その中で見つけたある中学生の書き込みがあったんですね。

その子はモデルさんになりたいっていう夢があるそうなんですが、

口唇口蓋裂で生まれたことでその夢を諦めそうになっていて・・・

 

最後の質問に「今、日本の芸能界に口唇口蓋裂で活躍されている方はいらっしゃいますか?」とありました。

日本の芸能界には1人もいなかったんですね。

それを見た時に、僕はものすごく悔しい気持ちでいっぱいになりました。

もしも自分がもっともっと有名になってこの子の目と耳に届くような存在だったら

この子は夢を諦めなかったんじゃないかと思いました。

 

今、日本の芸能界にいないのなら。

自分がその存在になろうと心に決めました。

長くなりましたが、これが僕のステージに立つ理由です。

 

家庭は一番心が安らげる場所。悔しさを原動力に

1番苦労をしたというか、悩んだのは中学校の時でした。

外見が気になる年ですから、1度からかわれたりする経験があるとそこからどんどん自信を失っていって。

毎日学校が苦痛で仕方なかったですね(笑)

当時は親の気持ちも考えずに「何故自分をこんな顔で産んだ ん?」って聞いたことも何度もあって。

そんな言葉から両親が全く逃げずにいてくれました。

2人が僕に対していつも心がけてくれたのは

”家の中、家庭はどんな時でも1番心が安らげる場所にすること” でした。

今の自分があるのは本当に両親のおかげです。

 

あとは大人になって音楽の世界に入り出した頃、

とある事務所の社長に

「お前みたいな変な鼻のやつがテレビ出れるわけないやろう」

と笑いながら言われたことがあって。

机の下でひたすら拳を握りしめて歯を食いしばっていたのを覚えています。

今から思い返すとその悔しさが自分の原動力にもなったのでありがたいことなんですけどね(笑)

 

口唇口蓋裂で生まれたからこそ、今の自分がある

この障害で辛かったことは色々ありましたが、

今辛いと思うことは1つもないです。

むしろこの障害で生まれたことに心から感謝しています。

 

口唇口蓋裂で生まれたからこそ、うちの家族は力を合わせて僕を支え続けてくれて

そのことで生まれた絆が今でもずっとずっと残り続けているから今もとても仲のいい家族だったり。

口唇口蓋裂で生まれたからこそ、僕はステージに立つ大きな意味を知り

沢山の人にこの体でエールを送ることができたり。

口唇口蓋裂で生まれたからこそ、沢山の痛みを知って

誰かに優しくなることができた。

 

今の僕全部、口唇口蓋裂がくれた人生です。

もしもまた生まれ変わるとしても
同じこの体に生まれたいとさえ思います。

 

何が幸せか決めるのは自分。自分で自分に蓋をしないで

口唇口蓋裂だけでなく。

世界中のあらゆる障害と言われるものすべて。

その人の個性であり、けっして不幸なものではないと思います。

 

長く生きれる人のほうが幸せかというとそうでもなく。

容姿が綺麗な人の方が幸せに生きれるかというとそうでもなく。

お金持ちのほうが幸せかというとそうでもなく。

考え方や捉え方、その人の在り方が、何が幸せかを決めるんじゃないかと思います。

 

自分にはこれはできないからとか。

こんな見た目だしとか。

こんな性格だからとか。

自分で自分に蓋をして、人生の選択はしてほしくないなって思います。

 

もっと楽に考えていい。大切なのは目の前の人に喜んでもらう瞬間

そして、もっともっと人生を楽に考えて選択してほしいと思います。

その1つの選択が、君の人生のすべてを決めるわけではないから。

行ってみた道の先が真っ暗闇で、毎日自分を我慢して辛くて辛くて仕方ないような世界なら。

すぐにやめてしまっていいと思います。

 

頑張った果てにボロボロになって心を病んでしまった君の姿を見ても

喜ぶ人は誰一人いないからね。

 

どんなお仕事を選んだとしても

1番嬉しい瞬間っていうのは

目の前の人に喜んでもらえた瞬間だと思います。

沢山沢山、目の前の人に喜んでもらえるような生き方をしてください。

 

Life is journey.

素晴らしい人生を。

【活動の軌跡】
11歳の時に両親に連れられて行った大阪城ホールで初めてバンドのLIVEに触れギターを始める。
その後14歳の時に同級生と共に【おかん】というバンドを結成。
17年のバンド活動を経て初期衝動である1万人のコンサートホール【大阪城ホール】での単独公演を全国から集まった7000人もの人々の前で夢を叶えた。
その後、おかんの活動はアジアへと進出。
同年9月には台湾最大の10万人規模の野外Rock Festival【Rock In Taichung Festival】のメインステージへの出演も果たす。
そしておかんの活動と並行して自身の体で伝えたい想いを胸にソロでも活動を始める。
2014年末にSPACE SHOWER MUSICより全国デビュー。
初のアルバムはオリコンチャート9位にランクイン。
2016年11月には再び台湾最大級の野外ロックフェス【Rock In Taichung Festival2016】に出演。
音楽で世界中の人々を繋ぐ活動をしている。

・【ロックバンドおかん公式HP】 http://www.rockband-okan.com/

・おかんYOUがモデルとなったフィクション小説絶賛発売中 【NO BORDER ~世界を1つに繋ぐ歌~】

・口唇口蓋裂をテーマにした講演やソロでのLIVEも行っております

◎小説の購入、LIVEのお問い合わせはホームページから◎

 

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