『口唇口蓋裂 オリジナル絵本メーカー』制作者ゆかさん(インスタグラムコミュニティcleftpeers管理人)に聞く
- 2021年2月21日
- LeonineAdmin
Instagramでたくさんの当事者さんや家族が参加している[@cleftpeers]
病院の情報や、様々な治療体験などが盛りだくさんなコミュニティから、新たに乳幼児向けの力強いツール『口唇口蓋裂 オリジナル絵本メーカー』が発信されました。
性別や疾患の種類(診断名)を選び、印刷したものに名前や治療記録を書き込むと、オリジナルの絵本が作れるというツール。
口唇口蓋裂や治療の内容について、子どもでもわかるように描いた「絵本」と、大人向けに詳しくまとめた「資料」の二部構成になっており、入園、入学の時の先生への説明ツールとしても非常に使いやすい、優れたコンテンツです。また、前半の絵本部分は、子どもに口唇口蓋裂のことを伝えるのにも使えます。
制作者のゆかさんにお話を伺いました
(オリジナル絵本メーカー:https://drive.google.com/file/d/1VPBsm184_cXjKbKvEbNqNnk6ud-j3Nmn/view?usp=sharing)
ーー非常に使いやすく、分かりやすい絵本ですが、どのようなことがきっかけで制作されたのでしょうか。
ゆかさん:娘の口蓋裂手術が終わり、1歳までの治療の山場を越えた頃、通っている病院の家族向け講演会で、「口唇口蓋裂のことを本人や周囲に伝える大切さ」を学びました。そして、そのときに知った口唇口蓋裂について書かれた絵本を早速取り寄せてみたのですが、個人的には、「子どもには少し難しいんじゃないか」、「治療のことが描かれていないな…」と感じてしまいました。ただ、日本にはそれ以外にこれといった絵本がないようでしたので、「じゃあ自分で作るか」と。
また、そのときに、「私以外にも、口唇口蓋裂についてどう子どもや周りに伝えるべきかと悩んでいる人はいるのではないか?」と思い、当時は娘用に作った、絵もストーリーも娘仕様のものだったのですが、個人のインスタグラムアカウントに載せてみたんです。そうしたら、予想以上の反響があって、「これは、もっと色々な人が使いやすいように工夫しないとな。」と思ったことがきっかけです。
ーー入園入学の時に使うと良いと思いますが、ご自身で使われたり、使用した方の感想はいかがでしょうか。
ゆかさん:私は、この絵本を入園面接の際に保育園に提出しました。うちは保育園になかなか入れなくて、年少でやっと入園できたのですが、年少となると1クラスの人数もぐんと増えますし、園と保護者たちの関係性もある程度出来上がっています。そんな中、新参者の私が「手作り絵本」などと手の込んだ資料を携えて行くのは、正直とても勇気がいりました。
それまでの保活で「口唇口蓋裂がある」と言っただけでけんもほろろな対応をされた経験もあって、「面倒くさい親が来た」と、娘への印象まで悪くなってしまったらどうしよう…という不安があったんです。
とはいえ、やっぱりこれまで娘が頑張ってきたことは知ってもらいたいし、気にかけてもらいたいことがあるのは確かなので、「お手すきの際にチラッと見ていただくだけで構いませんので…」と言って渡しました。
でも、保育園の反応は私が心配していたものとは全く違いました。
面談後、初めて登園したときに、まずは担任の先生が、「お母さん、絵本ありがとうございました。よくわかって、知れて良かったです。」と言ってくれ、
その後、廊下で会った年中さん、年長さんクラスの担任の先生からも、それぞれに「絵本読みました!私泣いちゃって、ほんとに素敵でした!」「えりちゃんが頑張ってきたこともそうだけど、お母さんがどう向き合ってきたのかが伝わって、感激しました。」と、本当に目を潤ませて声をかけてくださったんです。
また、そういった反応をしてくれたのは私の園だけではなくて、同時期に入園した子で、絵本を資料代わりに提出してくれたお母さんたちからも、先生たちから「わかりやすかった。」、「この絵本を作ったお母さんの気持が伝わるね。」と言われたよ、と、良い感想をもらいました。
周りに伝えることに対して悩んでいたことが、報われたように感じました。
ーーゆかさんは以前、このサイトでも子供に伝えるタイミングについてインタビューにお応えいただいておりますが( http://leonine-clap.org/column20201205/ )このツールで説明もできますよね。名前が入れられるというのはそう言った点でも良いと思うのですがこんな使い方をしてもらえたらいいなと思っていることはありますか?
ゆかさん:ありがとうございます。ただ、絵本はどうしても抽象的なので、以前のインタビューでお話させていただいたように、本人に伝える際にはぜひ写真を見せてあげてほしいです。なので、本人への説明に使うとするなら、写真を見せる前の「ワンクッション」として、読み聞かせてもらえると嬉しいです。
写真を見た子どもが「あれ!おくちが今とちがう!」と驚くようなら、「そうだよ。手術したんだよ。さっきの絵本にも書いてあったでしょ?」と、もう一度絵本を一緒に見たり、絵本と写真を並べて見るのもいいかもしれません。
小さい子どもは一つの情報で物を理解するのはなかなか難しいので、写真や動画、絵本といった複数のツールを組み合わせてあげることも、本人の理解を促す良い手段です。
また、兄弟への説明に使った、と言ってくれた方がいたのですが、それもいい使い方だなと思いました。下の子が口唇口蓋裂の場合、上の子は弟・妹のぱっくりなお口を見ているので、手術をしなくてはいけないことはなんとなくわかると思います。ただ、口唇口蓋裂の治療が手術だけではないことなどは、先のことというのもあって、口頭の説明だけではイメージできません。病気について理解するというのは、実は兄弟にとっても大切なことなので、ぜひ家族で読んでもらえたらいいなと思います。
それから、もうとっくに入園・入学の時期は過ぎているんだけど、本人に伝えそびれていて、今さらタイミングもわからない…というお母さんにもぜひ使っていただきたいです。もしかしたら、お子さんは自分で調べて知っているかもしれないけれど、本当は親から直接聞きたいと思っているはずなので、親子間のコミュニケーションのきっかけになってくれたら幸いです。
ーー是非、たくさんの方に使っていただきたいですね! ありがとうございました。
オリジナル絵本メーカー:https://drive.google.com/file/d/1VPBsm184_cXjKbKvEbNqNnk6ud-j3Nmn/view?usp=sharing
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