口唇口蓋裂のことを子供本人に伝えるタイミング


  • 2020年12月5日
  • Leonine

生まれてから口唇オペ、そして口蓋オペが終わり、しばらく穏やかな日々……と思っていたら、

だんだん子供が大きくなって周りとの違いに気がついてきた?そんな頃に親が悩むのは、
「いつ、どうやって、口唇口蓋裂のことを伝えるのか」がありますね。
両側完全口唇口蓋裂の女の子のママであり、チャイルドカウンセラーのユカさんにレオナインスタッフ良子がお話を伺いました。

ーーLeonineでの当事者さんをお招きしてのトークイベントでも、親からいつどのように伝えられたかということが話題になることが多いですが、

人によりけりってとこも大きいと思うので難しい問題ですよね。

 

ユカ:そうですね、今日は心理学の観点から少しお話しいたしますね。「いつ?」という点については

個人差はありますが[4歳~小学2年生になるまで]が良い時期だと思います。
なぜ4歳~なのかというと、子供の精神発達の段階として、4歳以前の子供には「自分と他人」という概念がないと言われているからです。
自分と他人が違う存在であるという理解がないので、例えば自分がみかんを好きなら、みんなも好きだと疑わないし、
自分が病院に行くならみんなも行くと考えるのです。
そしてそこから、家族とのコミュニケーションや集団生活を経験していくことで、だんだんと「自分と他人は違うんだ」ということを理解して、
自分が思っていることや経験していることが全てではないということがわかってきます。

 

ーー確かに、私の息子は現在5歳なんですが、ずっと病院通いしていて何も言わなかったのに
3か月ほど前から歯科矯正が始まって急に「なんで僕だけ?」と言い出しました。

 

ユカ:幼稚園へ通って集団生活を過ごすうちに、理解してきたのでしょうね。これを[心の理論]と言います。
なので、4歳以前の[心の理論]が獲得できていない子に口唇口蓋裂のことを説明したとしても、
「わかった!」とは言うかもしれませんが、それが周りの子とちょっと違うことだということまでは理解できないです。

 

ーー3歳くらいから病院に通う時や、折に触れて伝えていたのですがイマイチ伝わっていなかったのは、そういうことだったんですね!
話をするのに4歳くらいから、というのはわかったのですが、小学2年生までに伝えた方が良いのはなぜでしょうか?

 

ユカ:「小学2年生」という学年が、小学校~高校の間で最も[いじめ]の件数が多い時期だからです。
近年、小学校低学年のいじめ件数の増加が問題視されていますが、この時期の子どもたちというのは、
周りと自分を比較して劣等感を感じやすく、ストレスも多いからです。
でも、それを自分で解消できるほど成熟していないので、「いじめ」という形で発散してしまう子が一定数います。
それで、例えばそういう子が「なんで鼻の下に傷があるの?」とか「発音おかしくない?」なんて言った時、
本人が答えられなかったとすると、子供は単純なので「言えないってことはなんかあるんだな」と意地悪な気持ちが働いてしまうわけです。

 

ーー大人でも返答に口ごもられると「あれ?なんか聞いちゃいけないことだったかな?」とかネガティブな感情が出てきますもんね。

 

ユカ:そこで本人が「赤ちゃんの時に手術したからだよ」ってしっかり言い返せれば「そうなんだ」で終わることが多いですし、
少なくとも本人が「私はみんなと違うのかな……」と思い悩むことは避けられるはずです。
なので、遅くとも小学2年生になるまでには、きちんと親から伝えられるといいかなと思います。

 

ーー息子はずっと伝えていたのにあまり理解してなかったので中学年位で伝えないと理解できないのかなと思っていました。

 

ユカ:子供って自分が興味を持たないことは頭に入ってこないので(笑)
タイミングとしては「なんで病院に行くの?」とか「この傷なあに?」って本人が聞いてきた時に、しっかり伝えてあげるのが一番だと思います。

 

ーー先にもお話ししましたが、息子も歯科矯正で「なんで僕だけ矯正するの?」から改めて説明したら
今までより理解したみたいなのでちょうど良いタイミングだったのかもしれませんね。

 

ユカ:どうやって説明されましたか?

 

ーー私の場合は、口唇オペの前にとびきり素敵な写真を撮って、それをずっとリビングに飾っています。
だから自分がどういった顔だったのかは知っているので、手術して閉じたこと、
私の口を見せて、鏡で自分のを見せて違いを説明して矯正が必要なこと、おしゃべりが上手でないことを説明しました。
子供向けというよりは大人向けの説明だったかもしれません(笑)まぁ、なんとなく理解したようなしてないような……

 

ユカ:良いと思います! 伝える時は必ず包み隠さず、できれば生まれた時や入院時の写真を見せながらが良いと思います。
「子供がショックを受けるんじゃないか」と心配になるかもしれませんが、その後ろめたさが子供に伝わることが一番良くないです。
親が言葉を濁したり、曖昧な態度をとればとるほど、子供は「聞いちゃいけないんだな…言えない何かが私にはあるんだな…」と思ってしまうからです。

 

ーー親として気遣った結果、悩んだ結果うまく伝えられないってことなのに、子供にとっては「なんだかいけないこと」と捉えてしまうんですね。
親としては説明するときにちょっと思い出したり、急に自責の念に駆られて泣いちゃったりしそうで、いいにくいなぁ、となってしまう事もあるかも……

 

ユカ:泣いちゃいけないってことはないです。ただ、泣いたまま説明ができなかったり、なぜ涙が出るのかを伝えないと、
「自分のせいでママが泣いてしまった」って罪悪感を感じてしまうから、もし泣いてしまった場合は、
「本当によく頑張ったね。ママは感動したんだよ。」「あなたが生まれてきてくれて、涙が出るほど嬉しいのよ。」
って声をかけることを絶対絶対忘れないで欲しいです。

 

ーーそれはとても大事な事ですね。

 

ユカ:ですから、オススメなのは[誕生~治療の経過を記録した写真をまとめたアルバム]を用意しておくことです!
アルバムを作るって難しく捉えないでスマホの中でまとめておくとかでも良いです。まとめながら親も伝え方や内容を整理できますし、
子供も写真でわかりやすいですから入ってきやすいと思います!
子供が「なんで?」って聞いてきた時に、「よくぞ聞いてくれました!」とノリノリで説明できるくらいが理想かなって思います。(笑)

 

ーーノリノリ(笑)

 

ユカ:ノリノリです(笑)

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お話をしてくださった方/チャイルドカウンセラー ユカさん
インタビュワー/Leonineスタッフ良子

 

 

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