口唇口蓋裂と他症状を持った子の母親の話


  • 2019年7月7日
  • LeonineAdmin

はじめまして。2017年生まれ(現在2歳)の口唇口蓋裂児を育てているあやこと申します。

息子は、口唇口蓋裂に加えて内臓疾患(腎不全)やその他奇形を持って生まれました。

食事は鼻から入れた栄養チューブ(経鼻経管栄養)からミルクを注入しています。

 

【口唇口蓋裂は500人に1人、でもうちの息子は…。】

そんな心細い気持ちから始まった私の育児ですが、

いくつかの壁に当たりつつも今新たに思うことがあります。

今回は、「口唇口蓋裂以外にも症状を持った子の母親の話」というテーマで

私のこれまでの体験や思いをお話しさせて頂きます。

 

少し長くなりますが、同じような状況の方にとって少しでも参考になれば嬉しく思います。

 

【息子の口唇口蓋裂を知るまで】

息子の口唇口蓋裂は妊娠中のエコーでは発見されませんでした。

羊水過少(胎内の羊水が少ない状態)で4Dエコーが鮮明に映らなかったためです。

 

そのため息子の口唇口蓋裂を知ったのは出産直後のこと。

帝王切開に立ち会った小児科医から、抱っこの前に「先にお伝えすると…」と穏やかに告げられました。

 

もちろん戸惑いました。

それでもすぐに「口唇口蓋裂は治る障害!」大丈夫、家族で頑張ろう。と前向きな気持ちで情報収集を始めたのです。

地域にある家族会や、口唇口蓋裂の治療に力を入れている医療機関もいくつか見つけました。

さてどこに当たろう…。息子のためにベストな選択をするぞ。と張り切っていました。

 

NICU入院中

 

【後日知らされた命に直結する内臓疾患】

ところが、息子がNICU/GCUに入院して一か月後のことです、

担当医から呼び出しがありました。

 

院内の専門医が診たところ、どうやら腎臓が小さく数値も良くない、

退院後に専門医から詳しい説明を受けるようにとのこと。胸がザワ付きつつも後日診察室へ向かいました。

 

「腎不全で生まれた以上、最悪の場合親よりも先に…という可能性もある」

そう小児腎臓の専門医にはっきりと告げられました。

 

この日から”腎不全と共に生きる”ことが私の育児にとって最大の課題となりました。

それと同時に口唇口蓋裂をこの先どうするかという問題は、

少しだけ頭の隅に追いやられていく形になったのです。

 

【術後管理を理由に口唇形成術の手術を断られる】

とはいえ顔はできるだけ綺麗にしてあげたい、という気持ちがあったので、

口唇口蓋裂は専門機関を受診しようと決めました。

腕に自信のある先生にお願いするべく、地域でも有名な病院へ足を運びました。

当時住んでいた場所からはだいぶ離れていましたが、これも息子のためと思い、生後数か月の息子を連れて新幹線で通院しました。

そして手術日程も決まりいよいよ手術までの最終ステップ、事前検査を待つだけ!という段階まで来ました。
検査に向けて主治医(小児腎臓)の紹介状を持参。ここで思いもよらない事態になります。

 

「残念ですが、うちでは手術できません。」

 

そう言われてしまいました。

理由は、主治医が書いた紹介状に書かれている注意事項にうちでは十分対応できない、というものでした。

全身麻酔は腎臓に負担をかけます。術後に腎臓の機能がしっかりと回復しているかの観察は、

手術をする上で非常に重要なポイントでした。

 

ということで、泣く泣く当時通っていた歯学部運営の口唇口蓋裂センターでの手術を諦め、

腎臓の専門医が常駐する総合病院の形成外科を受診することになりました。

 

口唇手術前日

 

【口唇口蓋裂の家族会は、その他症状もある子の親は入りづらい…?】

息子が生まれてから2年間、私は一度も口唇口蓋裂の家族会へ参加したことがありません。

理由としては先にお話したように

 

・息子にとって口唇口蓋裂の治療は最優先事項ではない。

・息子の口唇口蓋裂手術には制限がある。(術後の全身管理が非常に重要)

 

という状況の中で、何よりもまずは腎臓第一!の生活をしてきたからです。

それに加えて、優先順位のためとはいえ、

口唇口蓋裂の手術に関しては多くを妥協して進めていかなくてはいけない、

という状況にどうしても悔しさがあり、家族会で他の保護者さん方とお話する気持ちにどうしてもなれないでいました。

 

悩みがまったく違うんじゃないか、傷つくのが怖い…。

 

そんな気持ちから、”口唇口蓋裂”をキーワードに誰かと繋がる機会を作らずにここまできました。

 

【それでも口唇口蓋裂家族会にいつか参加してみたい。】

それでも、最近は口唇口蓋裂の家族会に参加したい気持ちがジワジワと起こってきています。

 

口唇口蓋裂の手術は最優先ではないですが、でもやはり大事です。

制限はありますが、その中での最良を見つけるためにもう少し行動してみたい、そう最近は思うようになりました。

育児や息子のケアの経験を積んできた今、少し余力が生まれてきたのかもしれません。

 

特に家族会やSNSで、多くの当事者の方たちが交流されているのを見た時に、

息子の将来と照らし合わせて色々な事を考えさせられます。

親にとってはどうしても極端に命最優先(腎臓ファースト)ですが、

息子にとってはこの先何が一番の悩みになるかはわかりません。

 

無理のない範囲で、アンテナを立て直したいと思っています。

ビクビクしつつ交流会デビューをした時は、また報告させてください(笑)

 

【最後に】

普段私は、”医療的ケア児の育児”というキーワードで主にSNS発信をしているのですが、

僭越ながら今回のコラムを含む発信でいつも伝えたいメッセージがあります。

 

あなたはひとりじゃない。

 

私自身、こんな状況にいるのは自分一人なんじゃないか…と悩む事が多いです。

今でも何度も沼にはまってしまいます。

その度に人に助けられ、支えられながらなんとか育児を進めてきました。

ひとりじゃないです。一緒に生きていきましょう。

 

最後まで読んて頂き、本当にありがとうございました。

 

あやこ

経鼻経管栄養でミルクを注入する様子

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