しごと選び Vol.7:舞台俳優(前編)


  • 2018年11月22日
  • Leonine
社会で活躍する口唇口蓋裂疾患者ご本人による、キャリア選択ストーリー。vol.7は舞台俳優。
人の注目を集める仕事に目覚めたきっかけ、そしてどのようにしてその道を開いていったのか。前後編でお話しいただきました。

自己紹介

劇団命×語り鼓『浮き世に鬼は哭き嗤う』より。カメラマン/斧口智彦

OGA-SAN(おがさん)

殺陣団体『剣の輪会』所属

主にキャラクターショーイベント関係の仕事をする3児のアラフォー主夫

年に数回の舞台だけでなく、アニメキャラクターショー脚本

殺陣・歌・イラスト・ステージ裏方事等幅広くやる何でも屋

末の子供も口唇口蓋裂となり、のんびり見守り・治療しながら子育て中。

 

「舞台俳優」に興味をもった最初にきっかけ

物心ついた時からあった鼻の下の傷

微妙に歪んだ鼻筋

鼻の抜けたような明瞭でない喋り方

 

親族初の見合い婚であった父母から生まれた初子で口唇口蓋裂だった自分。

未経験ばかりの状況で人並の幸せを願った親の感情は何となく幼心から感じていて、

自然に取り繕ったり軽く嘘で誤魔化す事を身につけてしまっている事に自己嫌悪がありました。

 

そんな中『自分を別人の様に装う』事が仕事として評価される『役者』という職業は、

昔から憧れがあるものの、自分の状況も子供なりに理解していたので対岸の街の灯の様な感覚でした。

 

1つめの転機が訪れたのは、小学校の時に近くのデパートでやっていたヒーローショーでした。

それまでは単なる好きなTV番組の延長線で見ていたのですが

たまたま、演者の方の一人が出番を間違えるというミスを発見してしまい、

瞬時に『あ、これお芝居なんだ』って悟ってしまったという…(苦笑)

 

でも次に自分に沸いた感情が『こんなお芝居があるんだ!!』っていうワクワクだったんですね。

 

顔も表情も一切見せずに、戦うことすら『お芝居』としてこんなにも人を楽しませられる。

今でこそ認識が広がった「スーツアクター」という職業を無自覚に知り、

なってみたいなぁ…と思ったのが小5だった気がします。

 

とはいえ、身近には芝居のしの字もない状況。

その時は数多ある『将来なりたいモノ』の一つでしかなかった訳ですが…

 

次の転機は中3になります。

 

担任の先生がお祭り好きな人で、体育祭のパフォーマンスとか文化祭とか全力全開な人で

それも子供がやる事として妥協しない、誰でも楽しめるものを目指す人でして、

文化祭でやったクラス劇で結構ちゃんと芝居や演技法を教えてくれたんですね。

出来はともかく、そこですっかり人前で演じる事の楽しさに目覚めてしまって(笑)

 

…それでも自分が演じる仕事に就きたいなんて言ったら

『人並に大学へ行って職に就く』事を願っていた親は卒倒するのがわかってたので、

計画は慎重にというか、好きだった手塚治虫の自伝に習い

『とにかく大学には行く、その後で自分のやりたい事をやろう』

…ともう一つ興味があった『養護支援学校教諭』の道として進学の準備は実行しつつ、

水面下では高校で剣道部に入ったり、当時(妻が部長だった)演劇部や人形劇に参加したり、

必要だと思った事は色々経験してみようと、準備を重ねておりました。

 

 

……で、結局失敗したんですけどね(苦笑)

 

結局、家庭内の事でもいろいろあった中で、水面下での事がバレまして

家を飛び出してしまい、大学も中退していろいろ独りで生活しはじめました。

 

新聞屋とかに住込みで働きながら、当時劇団の養成所に通ってた妻の活動を見たり手伝ったり、

知り合った仲間とダンスユニットつくって路上でパフォーマンスしたりしてな中で、やりたい事が何かを悶々と考えまして

 

あ~もう正直にやりたいことやっちゃえ!

 

…って事で、キャラクターショーを実施しているイベント会社の門を叩き、

そこの先輩から様々な技術や経験を積ませていただきました。

 

幸運にも、始めてすぐ某幼児番組のファミリーコンサートなんかにも出演させて頂く機会もあったりした中

何だかんだと学生時代に試行錯誤して積んだ経験がちゃんと有効だったらしく、 問題児ながら辞める事なく評価を頂き

短いながら子供番組のレギュラーを頂いたり、CM撮影なとメディアの仕事も頂いたりしながら、

ついには脚本や演出・振り付けなども担当する事にもなりまして

最近はディレクションの方が仕事として多くなりましたが、気がつけば24年もこの世界に浸かってしまっています。

 

稽古

※掲載写真全て禁転載

 

//後編へ続く//

 

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