えいた君の治療記録[前編]〜歯科矯正スタートから術前検査まで〜


  • 2021年8月16日
  • LeonineAdmin
えいた君は昭和大学で治療している左側完全口唇口蓋裂の6歳の小学一年生です。
小学校に上がる前の2021年春に骨移植手術をしました。
元々はInstagramでたくさんの当事者さんや家族が参加している[@cleftpeers]での記事をまとめて掲載させていただきました。
前編、中編はお母さんの記録で、後編はえいた君本人へのインタビューです。

<自己紹介&これまでの治療歴>

愛称は『えいたん』です。
これまでの治療(手術)の経緯は

○生後3ヶ月(2015年5月) 口唇裂手術
○1歳(2016年2月) 口蓋裂手術
○4歳(2019年10月) 瘻孔閉鎖手術
○6歳(2021年3月) 骨移植手術

病気を告知され、生まれて、治療を受けて6年経った今、これまで頑張ってきてくれたから、この子は大丈夫だと思い、今は特に心配していません。
通院は他の子よりあるけれど、元気に楽しそうに毎日過ごしている我が子を見ていると疾患があるなんて忘れてしまいます。
まだまだ治療は続くけど信頼できる先生方と、同じ境遇のお友達が居てくれる事が何より心強いです。

 

<矯正歯科スタートから骨移植手術決定まで>

えいたが通っている昭和大では、1歳で口蓋裂手術が終わったタイミングで小児歯科への受診が始まります。
3ヶ月に1度のペースで、歯の生え具合や虫歯のチェックと、歯磨き指導を受けます。
そして4歳になると同じ病院内の矯正歯科を紹介され、いよいよ矯正スタート。
昭和大の矯正は、他の病院よりもかなり早くからスタートするそうです。

 

矯正歯科は小児歯科とは全然雰囲気が違って、完全に大人仕様。
椅子も大人用のに座ります。初日は矯正の流れについての説明と、
顎の形や口の中の写真撮影。それから型取り…と、なかなか長丁場でしたが、
えいたはどれも泣かずに頑張ってくれました!

 

口の中の写真は、器具で口をグアーっと広げて、さらに鏡を入れて撮ってたから痛そうで…口の端も少し切れてしまいました。
これは、親のほうも精神的にくるな〜と思いました。
ただ、その後は3ヶ月に1度の受診で、永久歯の組織がどうなっているかレントゲンを撮ったり、
初日と同じように写真を撮ったりで、基本的に写真を撮るだけ。えいたは特に器具などをつけることなく、これまで来ています。

 

骨移植手術の話が出てきたのは5歳半くらいだったかな?
矯正歯科の担当医から、形成外科の担当医に「そろそろです」的な話がいって、
6歳になるタイミングで手術しましょうということに。卒園の前に手術をすることになりました。

 

骨移植手術の入院は、元々は2週間程度と聞いていたのですが、
コロナ対策で1日に30分しか面会ができないそうで…
その分1週間で退院する予定で手配してもらうことになりました。

 

 

<抜歯>

昭和大では、骨移植手術が他の病院と比べてかなり早めです。

4歳になるタイミングで矯正歯科にかかり、レントゲンで歯茎中の永久歯の細胞の成長具合を見ながら、
矯正歯科の先生が「ここだ!」というタイミングで形成外科の先生が手術をする…といった流れになっていて、
それが大体就学前に当たります。

 

具体的には、「上の歯が抜けた後〜永久歯が出てくるまでの間」がそのタイミングらしく、そこで骨移植することによって、

・移植の成功率が上がる
・永久歯が曲がったりねじれて生えてくるのを予防する

というメリットがあるそうです。(あくまで昭和大の研究結果に基づく考え方です。)
ただ、えいたは顎裂部分の歯がなかなか抜けそうになく、手術までに間に合わなさそう…ということで、
術前に2本の歯を抜きました。(抜いた傷口が手術までにきれいに塞がるタイミングで抜歯です)

 

抜歯の日、歯を抜くことは本人に伝えていたので、病院が近づくにつれてビビっていたえいたでしたが、
嫌がって行かない!ということはなく、自分で診察台まで歩いていきました。

まずは表面麻酔をして、そこに麻酔注射を。これが結構時間がかかり、苦いのが喉に入るようで、
「早くして〜」って言っていたけど、なんとか我慢できて麻酔完了!

 

抜歯は、マイナスドライバーのような器具で歯茎と歯の間を徐々に広げて…
でも、私が見ていられたのはここまで。
先生の手で見にくかったのもあって、もう見ないことにしました。

抜歯の間、えいたは「こわいこわい」と言っていましたが、泣かずに2本抜けました!

私はずっとえいたの手を握っていたけど、その手を動かすこともなく、もちろん暴れることもなく…

本当に頑張ったと思います。先生たちもみんな驚いていました!

 

抜いた歯をもらったえいたは、それをずっと握りしめていて、
「俺は歯を抜いたんだ!」と少し誇らしげでした。

抜歯自体は5分かからずに終わったけれど、本人には長く感じたと思います。偉かったです。

 

<マウスピース作成と術前検査>

骨移植手術のために抜歯した際に型取りもして、手術後の縫合箇所を保護するためのマウスピースを作ってもらいました。
ちなみにですが、型取りは、上顎全体にピンク色の粘土みたいなものをぐっと押し付けてとるため、オエッとなります。
予約が朝早くとか午後イチだと、朝や昼に食べたものをリバースしてしまうこともあるので、
矯正歯科で「次は型取りをしますよ。」と言われたときは、昼前とか、14時以降に予約を取るのがおすすめです。

 

マウスピースは、型取り後40〜50分程で完成。その日から装着してくださいと言われました。
理由としては、マウスピースに慣れさせるためだそう。
術後は食事中も含めて終日着けていないといけないそうなので、
手術前から毎日着けて、術後もしっかり着けていられるように…とのことでした。

 

とはいえ、失くしちゃったら困るので、
うちは手術までは装着するのは家の中でだけ。保育園には着けていかないようにしてました。
ただ、退院後は保育園にも着けていくことになります。

 

えいたは特に嫌がることもなくマウスピースを着けてくれました。
着けると、話しにくくなってフガフガ言っちゃうのがおもしろかったみたいで。
でも、マウスピース自体が、手術後に骨移植をした部分が腫れることを見越して少し隙間ができるように作られていたので、
マウスピースを着けたまま飲み物を飲むと確実に裂に入っちゃうし、つけたまま普通食は食べられませんでした。
手術後の食事は最低でも3週間は柔らかめになるので、それはマウスピースをつけたままでも食べられるのかなと思いました。

 

   

そして、術前検査も受けてきました。採血や心電図、PCR検査などなどで3時間ほどでした。

全体的にスムーズにいったのですが、採血の時になぜかビビってしまったため、ぐるぐる巻きにされちゃって…
後から聞いたら、「何をされるかわからなくて怖かった」んだそう。
ちゃんと言っておいてあげたら良かったと反省しました。

 

それから、PCR検査(鼻ぐりぐりされるやつ)の後、時間差で鼻血がドバーッと出ちゃって白いTシャツが血まみれに。
着替えを用意していたので大丈夫でしたが、これから術前検査や入院でPCR検査を受ける子は着替えがあると安心です。

 

昭和大のコロナ禍の面会制限は、1日1回30分のみ。
養育者1名のみで、30分間は出たり入ったりは禁止…だそう。
えいたに面会に来てほしいタイミングを聞いたら、夕飯のときに一緒にいてほしいと言われたので、
入院中は家と仕事&病院の行き来になります。

 

<中編に続く>

 

 

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