ありがとう 愛してる「コンプレックスと向き合う」
- 2017年5月28日
- Leonine
本記事は、誰もが持つ「コンプレックス」と向き合うこと。工夫次第でコンプレックスは軽減できます。
フォーカスすべきは「自分の魅力」。それにより見えるものがたくさんあり、気持ちが楽になります。
コンプレックスと向き合う
「コンプレックスがあり、人の顔を見て話せません。」
「この口の形のせいで、彼氏(彼女)ができません」
「こんな顔をしているから、人に笑われます」
「友だちや家族が自分のいないところで悪口を言っているんじゃないかと気になる」
多かれ少なかれ、コンプレックスは誰にでもあります。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
例えば発音しにくい音があったとします。
これは人それぞれ違うと思いますが、わたしにとっては、サ行・タ行・ナ行・マ行が苦手です。
書き出してみたらけっこう多いですね^^
発音しやすいけど人から聞き返される率が高いのがサ行とマ行。
発音しにくく、聞き返される率も高いのがタ行とナ行。
ちなみに、わたしの名前のほぼ全部、発音しにくい音です。
そのため、昔は名前を名乗るとほぼ100%聞き返されていました。
「カトウアツコさんですか?」などなど。^^
小学校に上がる前に、発音の教室に通いましたが、高校くらいからまた言語療法士の先生についてもらいました。
そこで改めて発音の仕方を教えてもらい、それからは聞き返されなくなりました。
具体的には、サ行を発音するときには、発声の前に「スー」と空気が抜けるような音を出してから発音すると聞き返されにくいと知りました。
ナ行とマ行は、発音の前に「ン音」を半分言うような感じで発声します。
タ行は、口の中で舌をはじいて出る音を使います。
キレイに発音できている方は、これは初耳なのかもしれません。
わたしは自分の名前を言うときに、これらを駆使して、意識しながら発音しています^^
『「スー・さ」「とっ」「う」 「んな」「…つ」「こ」です』
毎回です。
そのおかげで名前を聞き返されることはなくなりました^^
それでも発音しにくい音はあります。
どうしても早口になってしまいがちですし、どもってしまう時もあります。
それを回避するために、言葉を発声する前に「この言葉は自分にとって発声しやすい表現かな?」と瞬時に考えて、それから発声しています。
毎回です^^
ちなみに、相手にとって聞きやすいように、発声しにくい単語は毎回言い換えています。
例えば「お待たせいたしました」。
どこが難しいかと言いますと、「おマタせ いたシマシた」のカタカナで書いた部分が、ほぼ100%噛みます^^
苦手なサ行・タ行・ナ行・マ行が連続してやってくると、発音するための口の形を作るのが間に合わないんですね。
他には「ありガトう」。
「が」を発音するために口を大きく開き、次に「と」の発声をする準備をするため一度口を閉じて、舌を上の歯に打ちつけて破裂音「たんっ」とはじく音が必要になるんです。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
吃音やどもりがあると、どうしても発音しにくい言葉があったり、ゆっくり話そうと思っても話せない場合があります。
だから、お子さんに「もっとゆっくり話しなさい」と、できるだけ言わないであげてください^^
ゆっくり話したいんです。
でもできないんです。
「ゆっくり話せ」と言われると、「ゆっくり話さなければいけない」と、よけい緊張して筋肉がかたくなり、発音しにくくなってしまいます。
なので。
例えば、もし、お子さんが話している言葉が不明瞭でどもっていたとしたら。
「なにか話そうとしてくれてるなー」とのんびり待っていてあげてほしいな、と思います。
「話す」ことへのプレッシャー
「英国王のスピーチ」という映画をご存知ですか?
アカデミー賞4部門を受賞した名作です。
現エリザベス女王のお父さんにあたるジョージ6世の、史実に基づいたストーリーです。
時代背景は第二次世界大戦前夜。
文明の発達でラジオや拡声器で、より多くの人へスピーチする舞台が増え、吃音症を持っているジョージ6世は窮地に追い込まれます。
敵対国のドイツは、ヒトラーの圧倒的なスピーチで多くの人を熱狂へ巻き込んでいきます。
ドイツへ宣戦布告し、英国王としての威厳あるスピーチが、ジョージ6世に求められました。
極度の緊張を強いられる場で、どもらずに発音するために、ジョージ6世はどんな方法を取り入れたのか?
ぜひ、以下のリンクで見てみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=uS3SWKfQZh0
(シネマトゥデイから発行しているYoutubeのページへつながり、予告編2分21秒が見られます。
話すことにコンプレックスがある人の心情が、丁寧に表現されているなーと思います)
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
以前、Leonine家族会に参加させていただいたときに、「口唇口蓋裂の子は、頭が良い子が多い」という噂を耳にしました。
その時は「そうなんだー」くらいしか思いませんでした。
その後、いろいろ考えて、もしかしたら自分の表現しやすい言葉を瞬時に考えるクセがついているから、頭の回転がよくなるのかな?と思ったりました^^
実は、メイクもこれと同じです。
クマが気になっている方は、クマをカバーしたい!という点にフォーカスしています。
ふくよかで魅力的なクチビルを持っていても、クチビルの形が嫌だ、と思っていると、笑うときに手で口元を隠さないと笑えなかったりします。(以前のわたしはそうでした)
でも、初めてメディカルメイクを受けたときに、クチビル周囲のカバーよりも「眉をもっとキレイに描けるようになるといいね」とアドバイスされました^^
「あれ!?クチビルよりも気をつけるべきなのは眉なのか!?」と、当時のわたしは衝撃でした^^
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
この単語を発音しなければ!と思い詰めなくても大丈夫です。
力を抜いて発音すればいつかできる。
100回に1回、キレイに発音できれば、そのうちもっとキレイに発音できる回数は増える。
発音の仕方をアドバイスしてもらえば、もっと楽に話せるようになる。
同じように、コンプレックスにフォーカスせずに、全体をふんわり見てみると、実はキレイだった肌や、すらっと通った鼻筋に気づくかもしれない。
目の前にそびえ立っている関門を、力づくで突破する方法もあるけれど、違う角度から見てみたら、その脇にあった通用口があって、ヒョイっと通り抜けてしまえたりすることもある。
メイクでカバーするテクニックを持つことは、いつでもじぶんでカバーできる安心感につながり、お守りがわりになるので大切ではあります。
でもその一方で自分の持っている魅力にフォーカスできるようになると、もっとぐっと楽になります。
佐藤 奈都子
Natsuko SATO
〝口唇口蓋裂のメイクセラピスト″
1978年生まれ、秋田出身。
顔に生まれつきの障がいを持って生まれる。
リハビリメイク提唱者のかづきれいこ氏に師事、顔にコンプレックスがある方へのメイクを学ぶ。
その後、「らしさが美しい、を文化に」美塾・内田裕士氏に師事。
ありのままの自分の顔を愛し、良さを引き出すメイクを身につけ、
その人の心に光をあてるきっかけとしてのメイクを教え、伝えている。
2013年にはドキュメンタリー映画「うまれる」自主上映会を故郷の秋田で開き、盛況となっている。
自分の顔を好きになる人を増やしたい。 その輝きを応援したい。
最近ハマっているものは変顔で、美味しいものを食べている時が一番幸せ。
ブログもやっています。
http://ameblo.jp/lifeisprism39/
口唇口蓋裂当事者も、親御さんも、悩むことがありますが、嫌な思いや悲しい思い、悔しい思いをした時に、「生まれてよかった!」「わたしって最高」「これでよかったんだ」と思ってもらえるようなコラムにしたいと思っています。
そんな思いをしている方へのメッセージとして「(生まれてきてくれて)ありがとう、愛してる」
お子さんもご両親も、自分の顔に自信がないと悩んでいる方も、みんなに届けばいい、そんな気持ちをこめています。
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